日本介護予防・健康づくり学会にて『骨盤底筋体操』実践報告!
2023年11月11日(土)~12日(日)の2日間、名古屋学院大学で開催されました「第11回 日本介護予防・健康づくり学会」において、運動指導現場における「骨盤底筋トレーニングの実践報告」をさせていただきました。
数年前に、一般社団法人 幸せな身体づくり協会の「骨盤底筋トレーナー®」の資格を取得し、骨盤底筋トレーニングや尿トラブルのことについて継続的に学ばせていただいています。
高齢化が進む中、運動指導の現場でも「尿もれ」や「頻尿」、骨盤底筋が弱くなることによって膣から子宮が体外に出てしまうような「骨盤臓器脱」などのトラブルの予防・改善の必要性が高まっています。
尿もれ、頻尿の改善にも大切!「骨盤底筋」ってどこにある?
骨盤底筋とは、上のイラストでも分かるように、横から見ると、前側は尿道に近い当たりの「恥骨」という骨と、後ろ側は肛門に近い当たりにある「尾骨」という骨にハンモッグのようについている筋肉です。まさに、骨盤の底にある筋肉です。
この筋肉の特徴は、手足の筋肉と同じ種類の筋肉です。なので、自分の意志で鍛えることが出来るのです。
この筋肉が弱くなると、その上にある「膀胱」「子宮」「直腸」などを支えられなくなり、下に下がってきてしまい、深刻な状態になると臓器が体外に出てきてしまいます。(=骨盤臓器脱)
また、多くの女性が「くしゃみや咳をすると尿がもれる」などの尿もれを経験するとも言われます。
早い段階から「骨盤底筋トレーニング」を行うことによって予防・改善が可能なのです。
しかし、尿もれや頻尿などの尿トラブルで病院に行っても、「人手不足」「保険診療ではない」という理由から、骨盤底筋トレーニングの指導が行われていないのが現状のようです。
多くの泌尿器科の先生が「骨盤底筋トレーニングはやったほうが良い」と言われます。
「運動教室参加者の声」アンケート結果
今回の学会発表をきっかけに、運動教室に参加されている高齢者のみなさんに、アンケートにご協力いただきました。
対象者は64歳~84歳までの87名。(うち男性7名)
アンケート項目は4つ。
(内容)
①尿トラブルについて心配事はありますか?
②尿もれの経験はありますか?
③骨盤底筋トレーニングは必要だと思いますか?
④骨盤底筋トレーニングを行っていますか?
ほぼ全員の方が、今までに骨盤底筋トレーニングを経験されていたり、骨盤底筋に関する話を聞いたことがある方です。
結果は・・・
アンケート結果からも分かるように、お元気に運動教室に通われているシニアの方たちも、多くの方が尿トラブルへの心配や困りごとがあることがわかりました。
そして、骨盤底筋のことを学ぶと、教室に来られている全員が「骨盤底筋トレーニングは必要」と答えておられます。
運動指導現場での「骨盤底筋トレーニング」実践報告!
今回、「日本介護予防・健康づくり学会」の骨盤底ケア研究部会の中で機会をいただき、主にシニアを対象とした「地域運動教室における骨盤底筋トレーニング ~効果を高めるグループ指導~」という内容で発表させていただきました。
運動指導者が得意とするグループ指導の中で、効果を引き出すために心がけていることや、難しく感じていることをお伝えし、骨盤底筋を強化していくためには、その周辺(股関節まわり)の筋肉を同時に鍛えていくことの必要性についても触れてみました。
指導現場の中で大切にしているのは・・・
学習意欲の高いシニアの方々は骨盤底筋への知識が高まると継続意欲も高まります。
排尿、排便のコントロールは人間の尊厳に関るとても大切なことでもあり、人生の最後まで排尿、排便は自分でコントロールしたいと誰もが思うところです。
だからこそ、足腰を鍛えると同じように、骨盤底筋という筋肉も元気なうちから衰えないように、しっかり鍛えていくのが理想ですね。
私たち運動指導者も排尿、排便のトラブルや心配を抱えている方たちのお力になれると感じています。
大学の先生やお医者様が多く参加される学会での発表は緊張しましたが、医療に関わる先生方に運動指導現場の現状を知っていただく、とても良い機会になったと感じています。
学会の中で「高齢者の排泄ケア」について、とてもわかりやすくお話いただきました「国立長寿医療研究センター 長寿医療研修センター」の西井久枝先生が、運動指導現場での骨盤底筋指導について、とても興味深く耳を傾けて下さいました。
運動指導現場と医療現場の協力体制を深めていくことによって、心も身体も元気な高齢者が増えていくことと思います。
今後も骨盤底筋に関する指導を運動指導現場でも広めていきたいと思います。
「尿トラブルや、骨盤臓器脱などでお悩みのある方」「どこに相談して良いかわからない方」一人で悩まずにお気軽に連絡ください。
改善に向けて、きっと良い方法がありますよ。