運動指導者に聞いてみました!『シニアのためのオンライン運動教室は必要ですか?』

全国各地の運動指導者31名に、「シニアのためのオンライン運動教室」についてのアンケートにお答えいただきました。

実施期間:2023年7月8日~20日

目次:(前説)

1.現在の運動指導現場は?

2.「シニア対象オンライン運動教室」開催の現状

3.開催していない理由は?

4.シニアのオンライン運動教室は必要か?

5.「シニア対象オンライン運動教室」が必要な理由

6.シニアが運動教室を辞める理由は?

7.シニア対象オンライン運動教室について思うこと

(前説)

コロナ禍で、チャレンジされる方も増えた「オンライン運動教室」

若い方ばかりではありません。

高齢の方も積極的に「オンライン運動教室」に参加される方が増えました。

ZOOMを活用しての操作に最初は戸惑われることもありますが、数回繰り返せば、皆さんとてもスムーズに操作されます。

慣れてくると、「大きな会場で行う運動教室よりも、先生の声が聞き取りやすい」とか「先生の細かい動きまでよく見えてわかりやすい」「もしも体調が悪くなっても、自分の家なので安心して参加できる」「画面越しだけど、皆さんとお話しできて楽しい」などのお声も上がってきます。

今後ますます高齢化が進み、一人暮らしの高齢者が増えていく中で、運動教室のオンライン化は、運動を継続していくためのとても便利な方法であり、社会との関りをもち続けるとても有効な手段になると感じています。

ここ最近、コロナウイルスの感染拡大も落ち着き、以前の生活にもどると同時に、運動教室も対面での実施が始まりました。

現在は「オンライン運動教室」を必要とされる方々も少なくなってきたのが現状です。

しかし、この先の社会変化を考えると・・・私の住む地域では、あと数年で車の免許の返納をされる方が急速に増えることが目に見えています。

免許を返納する人のイラスト(女性)

行政が設定する運動教室があったとしても、その会場まで足を運べなくなる方がかなり多くなります。

送迎バスなども必要になると思いますが、町の隅々まで公平に、送迎バスを走らせることはできるでしょうか?

・・・いろんな問題が出てきます。

「人生の最後まで自分の足で歩き続ける」元気高齢者を増やしていくためには、地域の状況や生活背景などを理解できる「地域に密着した運動指導者」が今後ますます必要になってくるのではないでしょうか。

 

私自身も、運動指導者として、シニアの方々にとって必要な運動教室を考え、提案し「運動コミュニティ」をきっかけに「地域コミュニティ」が活性化することを目指していきたいです。

コロナも落ち着き、一見オンライン運動教室は必要でなくなったと思われる今こそ、「シニアのためのオンライン運動教室」を地域で大切に継続しておきたいと思います。

運動教室の単なるオンライン化だけでなく、地域密着でオンラインを活用して運動教室を行うことによって「高齢者の孤独対策」「地域コミュニティの維持」につなげていけると思うのです。

お家にwi-fiがない、スマホやパソコン、タブレットがない・・・などの問題もありますが、継続しながら多くの方に必要性を感じていただき、行政や民間企業などのサポートが得られるようになると良いなあ・・・と思います。

 

・・・今回、全国各地で活動されている指導者仲間に「オンライン運動教室」についてアンケートにお答えいただきましたので、そのアンケート結果をご紹介したいと思います。

アンケートにご協力いただきました皆様、ありがとうございました。お忙しい中、ご協力いただきましたことに感謝いたします。

 

運動指導者に聞いてみました。「シニアのためのオンライン運動教室は必要ですか?」(アンケート結果)

実施期間:2023年7月8日~20日

実施人数:31名に実施しました。

質問内容7つ

     5.4の回答に対する理由をお聞かせください。30 件の回答(赤字は「思わない」に対する回答)

1.病気の治療中で外出が難しい方や、ご家族の都合で交通手段がない方でも参加できるからです。

2.私が活動している横浜地区は坂が多く、高齢の方々は自治会館に行くのも大変という状況の方もいらっしゃいます。また階段などあれば更に難関です。そういう方々が、坂や階段を理由に運動から遠ざかり引きこもってしまう事を避けたいと思います。そのためにもオンラインでの運動も選択できるようになるといいなと考えます。

3.様々な面で会場に来られない方が増える

4.孤立させないためにも必要だと思います。 オンラインといえども、自分の身体に意識を向ける時間がオンラインレッスがあることでも増えると思います。

5.外出に介助が必要、介護する人がいると外出しづらい、遠方から参加できるなどの理由でオンラインは有効。

6.リアル参加ができない方の選択肢として。

7.体操はもちろん必要ですが、同時につながりを持つことも重要だと思うからです。

8.免許返納や自転車に乗るのを家族から止められるなどで行動範囲が狭くなっても、また外出が億劫になったりしてもオンラインなら運動コミュニティに参加し続ける事が出来る。

9.寿命がのびることで、ますます足腰が弱くなる高齢者は増えていく。

10.  車の免許返納してから、冬場雪がひどくて外に出られない時期、あとは夏の猛暑日も最近は外出を控えるように報道されるので、自分は元気でも何らかの理由で外出できないシニアにとって運動、コミュニケーションの場になると思うので必要。

11.  緊急事態宣言のような時の、施設が利用できない時に必要。

12.  様々な理由により、外に出るのが困難な方にはオンラインは必要だと思います。

13. 介護で家を出られない等 運動したくてもサークル、ジムに行く時間が取れない方に必要。

14. 必要とされる方に、適切な運動プログラムをお送り出来る事はオンラインの大きな利点です。

15. 必要性は感じていますが、シニアの方でもオンラインの操作ができる人とそうでない人がおられるのが現状だと感じていま す。特に、オンライン操作が思うようにできず、そこで離脱してしまう人。自宅でオンラインレッスンが受講できる環境のこと。など、オンラインレッスンを受講するまでの段取りを前向きな気持ちになって取り組んで頂く働きかけ方を考えていく必要があると感じます。

16. 体調不良、体力低下、免許返納等の理由で外出が難しくなっている方が増えていると感じます。 今後これから後期高齢者になっていく世代は現在よりもスマホの普及率もあがりネット世代に変わっていくと思うので、オンラインレッスンのハードルも今よりは下がるのではないかと思います。

17.  私の指導している地域では、スマホ等のオンライン器具を持っていないシニア層には、「出てくる」「人と会う」事が介護予防に重要であり、オンライン器具を持っているシニア層は、もう出歩く機会だったり参加型の介護予防事業に参加されているようです。ただ今後もし同じような感染症対策が必要になった場合には、後者の世代がスムーズにオンライン指導に移行できるような体制は必要だと思います。

18.  免許の返納、自転車や歩行困難、家族の介護などでリアル参加が難しくなる方が増えると予想されるので。

19.  適度な運動を継続的に続ける事が健康寿命を伸ばすことに繋がるから。それが、悪天候でも、自力で教室まで移動できなくても自宅でクラス受講でき、健康寿命を伸ばすことを可能にする一つの方法だと思うから。

20.  運動習慣を継続させる為に必要だと感じるが、緊急事態宣言中にオンラインのクラスの提案をしたが、主催者側(体育館)も参加者からも同意は得られず、ハードルは高いと感じる。

21.  この先の状況変化が訪れた際、外部と繋がれる大事な手段となると思うので。

22.  通いたくても通えない方も多くなる。

23.  オンラインでの運動指導は効果が不透明すぎる。運動処方を触診等無しにするのは怪我につながる恐れがある。

24.  携帯の普及により、今までは電話がやっとの方が多かったように感じたけど、現状LINEやSNS、You Tubeなどを活用したりするシニアも増えてるので、今後は必要性があるかもだけど、できれば家から外に出て欲しいからそればかりに頼らないで欲しいとも思う。

25.  運動はこれからも必要と思うが、やはりパソコンやタブレットの操作が苦手な方が多い。

26.  バスなどの移動手段や、積雪のない環境、安く使える公共の施設など整っている方だと思います。

27.  体調や年齢で教室を辞めて家にいる方や 講座の定員で来れない方 元気になったら卒業システムで行き場を無くしている方、会場までの足の問題など課題を感じるので。

28.  外へ出られない状況でもコミュニケーションや 運動が家でも続けられて孤立しない。

29.  開催場所まで来れない方がもっと増えるので。

30.  事情により外出できなくなることもあるのでシニアの方がオンラインできると運動の機会を無くさずに済むと思う。

 

 

  7.シニア対象のオンライン運動教室についてご意見があればお聞かせ下さい。22 件の回答

1. 5に書いたような理由で運動やコミュニケーションを諦める方が1人でも減るように、オンラインの手段があった方が絶対にいいと思います。リアルとのハイブリッドで、今日はオンラインにします、など使い分けができても便利だと思います。

2. オンラインの運動を広げたいですが、スマホすら持っていないという方々も多く、デバイスや接続の仕方の問題も抱えているのも事実です。 どのようにクリアしていけば良いのか?頭を抱えてしまいます。

3. 操作や環境等、大丈夫な方には広げていく重要性は高いと思います。

4. 私の住むいわき市でも取り組みが始まった様子です(私は関わってないのですが) 聞いた話だと、現在は試験的に行っていて、タブレット(インターネットが使える状態のもの)を2か月間貸し出して、オンライン体操をやっています。 ですから、シニアの方のネット環境を整えるハードルは低く始められるようです。 しかし、貸し出しできる人数も限られるでしょうし、貸し出し期間が終わったらどうなるか? 以前、オンラインについて提案書を持って行った部署なんですが、、。

5. 単なる運動のやり方ではなく、コミュニティに所属して居場所がある事が大切なのだと思います。

6. オンライン運動教室が参加者一人一人の居場所となり、参加者同士がコミュニケーションをとれる工夫をしていきたいと思っています。

7. 必要性は感じるものの、自分1人では導入していくのが難しい感じがする。市の長寿福祉課からの依頼のシニアサークルが始まったので、市の職員の方にシニアのオンラインレッスンの話もしてみたいと思っています。

8. シニアというと60歳以上を指します。高齢者と意味が違ってくるので、高齢者対象のオンラインレッスンと、また意味が違ってくると思いす。

9. いつも様々な活動に刺激を受けています。 今後とも宜しくお願いいたします。杉浦

10. 地域によりますがオンラインに対する抵抗。 環境 部屋に家族がいるとやりにくい等。 LINEが精一杯 不慣れ

11. スマホ、タブレットを活用して、オンライン運動教室へのお誘い、働きかけが必要であると感じています。

12. 5に回答をさせて頂きました。 よろしくお願いします。

13. ネット詐欺のニュース等を聞くと恐怖心や不安感が強い方も多く、その他通信環境、支払い方法…などなどまだまだハードルの高さを感じす。

14. 何よりも自分自身が安全性やネットの扱いに不安があるので必要性を感じながらも中々実現に至っていないのが現状です。

15. 医療費削減にも介護予防にも必要不可欠だと思います。

16. 安全面を確保したいので顔出し(状況がわかる状態)で参加してほしいが、恥ずかしがる人が多く、無理やりではなく、どうしたら顔出しで参加してもらえるか悩み中です。また一時ケガをして教室に参加できない方がプライベートでオンラインクラス受講してくれたが、教室に復帰できるとリアルの教室だけを選択された。

17. オンラインだけ、または両方参加していただける必然性を伝えるにはどうしたらいいか?オンラインクラスを継続開催できていない個人的な課題です。

18. 高齢者にもスマホが普及しており、今後はオンラインも受け入れやすい時代が来ると感じる。しかし、現在はまだ対応できる高齢者は少い。また外へ出かける事で運動の効果以外に得られる事は多くあるので、対面指導を軸に、色々な状況で続けられ無くなった方にはオンラインで運動習慣を途切れさせない事が大切だと感じる。

19. 私自身、身体の状態が日々変化する高齢者にオンラインで安全に指導する事が出来るかは今はまだ不安があり、準備や勉強などが必要だと感じる。

20. 現在参加下さっている方はその利便性やメリットを感じ継続下さっています。

21. 大きなうねりは起きませんし、行政関係の方もあまりオンラインの良さを今ひとつ肌で感じ取っていない感があります。(個人的な感想です)

22. 交通の便が悪い地区の方などは関心を持っているが最後の一歩が踏み出せないと言った感じです。

23. 折を見て声掛けをしていますが、難しいと思い込んでいるようにも感じます

24. シニア対象のオンラインは、スマホで参加される方が多いので目の具合があまり良くない方は、目が疲れてしまってダメですとか目を使い過ぎてその後がくたびれます…と残念ながら離脱された方もいます

25. テレビに繋ぐ等の方法もありますが、若い方々とのオンラインとは異なることが多々ありますね。しかしながら、気候に左右されずに家にいながら外部と繋がれる大切な手段の1つであると考えるので、今後もコツコツと続けたいと考えています。

26. オンライン普及を最優先!

27. 対象者に限らずオンラインで高い効果を上げている運動教室を知らないです。ブレイクスルーがあるなら、是非見てみたい。

28. 今のところ私のところに通ってくださるサークル11名、月謝制のクラスレッスン18名と両方まだ誰1人も辞めることなくいらっしゃっています。

29. 今月でサークルは11年、クラスレッスンは9年、今月アンケートを取る予定です。 その中の項目にズームなどオンラインの必要性を聞いてみたいと思います。

30. 家にいながらにして、人と繋がれる、運動ができる素晴らしい活動だなと感じます。

31. 自分にノウハウが無いのと、家族の協力や システムを伝えることに難しさも感じつつ、今後の必要性も感じます。

32. やはり壁はパソコンを使うことに苦手意識、運動はリアルでやるということだけしか考えられない方が多い。 そんな中でも必要性を感じて参加してくださる方が出てくるので根気強く続けていくしかない気がする。

33. オンラインが必須ではなくてもできることで幅が広がることをどのように伝えていったら良いか?を解決したいのですが、その壁が高い…😢

アンケート結果から、各地域で活動される運動指導者さんの熱い思いがひしひしと伝わってきました。

「アンケート結果から見える運動指導者の熱い思い!」

今回のアンケートをまとめてみました。

①「今後、シニアのオンライン運動教室は必要だと思いますか?」という問いに対しては、74.2の方が「必要だと思う」と答えています。

その主な理由としては・・・

  • 車の免許返納などで交通手段がない方に向けて
  • 家族の介護などで外出しづらい方に向けて
  • 冬の積雪時や夏の猛暑時の教室開催
  • 高齢者を孤立させないためにも必要
  • 外部とつながれる大事な手段

「必要と思わない」と答えた方の理由としては・・・

  • オンラインを行うための環境整備が必要
  • リアル教室参加者、主催者(自治体)の同意は得られず、ハードルは高いと感じる。
  • オンライン運動指導は効果が不透明過ぎる。
  • 家から外に出てほしいから、オンラインばかりに頼らないでほしい。
  • パソコンやタブレットの操作が苦手な方が多い。

 

②現在もシニア対象のオンライン運動教室を開催している人は、19.4%

 今は開催していないと答えた61.3%の中には、「シニア」に限定していないがシニアの方の参加がみられる・・・との回答が目立ちました。

 

③以前は、「シニア対象のオンラインレッスン」をしていたが、今はしていないと答えた方の主な理由

  • 必要性を感じない(リアルが充実してる)
  • シニアにオンラインはハードルが高い
  • wi-fi、パソコン、タブレットなど、環境整備の問題
  • 自分自身の余裕がなく、まだ準備できていない

 

今回のアンケート結果を拝見しながら、この先、多くのシニアの方に「オンライン運動教室」を勧めていくことはとても意味あることだと感じました。

しかしそこには、wi-fiやパソコン、タブレットなどの環境整備の問題が大きく立ちはだかります。

なかなか個人一人で動くには限界がありますし、自治体や地域の民間企業などと手を組んで、より良いまちづくり、一生住みたくなる街づくり施策の一環として、「シニアのオンライン運動教室」を広めていけないものか・・・とも思います。

 

④シニアの方が運動教室を辞めていかれる理由のNO1は・・・

1. 体調不良 51.6%、  2.  家族の介護 16.1%

     家族の介護で家を出にくい状況にあっても、家で受講できるオンラインシステムがあれば気兼ねなく運動教室に参加できるのではないでしょうか。

体調がすぐれず、外出はできなくても、オンラインでつながることができると仲間と楽しい会話はできるかもしれません。

運動コミュニティをきっかけに居場所づくりができ、今後ますます増えつつある高齢者の一人暮らしも独にさせない」ネットワークづくりにも貢献できるのではないでしょうか。

 

シニア対象のオンライン運動教室の継続については、まだまだ考えていくべきこともたくさんありますが、「人生の最後まで、心も身体も元気に」過ごしていけるシニアを増やしていくために、全国各地で熱い思いを持って運動指導に携わっている仲間たちとタッグを組んで、より良い運動指導の形を探っていきたいと思います。

地域における高齢者運動指導の様子は、こちらのブログや、フェイスブック、インスタグラムなどで発信させていただきます。

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