『温泉施設で健康づくり』

地域コミュニティの活性化を目指し、「運動施設がないところに運動指導を届けたい」という思いをもって活動中!

奈良県宇陀市在住 健康運動指導士の井上明美です。

今年度から新しい取り組みとして、宇陀市の温泉施設「美榛苑(みはるえん)」をお借りして運動教室を開催しています。

予約の必要はなく、どなたにでも気軽にご参加いただける体操を行っています。

今回のブログでは、温泉施設で運動の提供を考えた経緯についてお伝えしたいと思います。

ご自身の住む地域で気軽に参加できる運動教室をお探しの方、地域の運動教室を展開させていきたいとお考えの運動指導者の皆さんにも読んでいただければ嬉しいです。

 

「超高齢社会に対応する運動教室」

2025年12月現在、奈良県宇陀市の高齢化率45.3%です。

高齢化率とは、皆さんもご存じの通り、全人口に対する65歳以上の人口の割合です。

総務省の統計によると、2024年10月1日時点での日本の総人口は1億2,380万人です。そのうち65歳以上の人口は3,624万人で、高齢化率は29.3%となっています。

また、団塊の世代の方々が全て75歳となる2025年には、75歳以上の人口が全人口の約18%となり、2040年には65歳以上の人口が全人口の約35%となると推計されています。(厚生労働省)

 

人口の7%を超えると・・・高齢化社会

14%を超えると・・・高齢社会

21%を超えると・・・超高齢社会 と言われます。

宇陀市は紛れもなく、超高齢社会です。みなさんのお住まいの地域はいかがでしょうか?

私が住む奈良県宇陀市にはフィットネスクラブなどはなく、体育館やグラウンドなどはあるものの、健康づくりのために毎日教室が開催されているわけではありません。

結婚を機に移り住んできてから30年。行政の協力もあり、体育館や公民館などの施設をお借りして運動サークルの立ち上げに力を入れてきました。

人生の最後まで自立した生活を送るための「健康づくりの場」の提供を考え、運動サークルを立ち上げて約20年。

教室のテーマは「自立」「自律」

この考えは、私が所属する「NPO法人いきいき・のびのび健康づくり協会」の考え方です。

「人生の最後まで自分の足で歩き、自分の心も身体も自分で整えられる力を身につけよう!」

地域での運動教室は、まさにその力を身につけるための教室とも言えます。

なので、教室の内容はどなたにでも気軽に、手軽に行っていただける内容です。腰痛や肩こり、膝の痛みの予防や改善にも役立つ機能改善体操を中心に運動教室を展開しています。

 

「介護が必要になる主な原因」

厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2022年)によると、介護や支援が必要となった主な原因としては、「認知症」が最も多く16.6%となっています。

次いで「脳血管疾患(脳卒中)」16.1%、「骨折・転倒」13.9%、「高齢による衰弱」13.2%、「関節疾患」10.2%となっています。

 

介護になった原因2022

<厚生労働省「国民生活基礎調査」/2022年>

「骨折・転倒」、「関節疾患」を合わせると24.1%となり、認知症や脳血管疾患を上回る割合になります。

歩き続ける足を守るために重要となる「骨折・転倒」「関節疾患」の予防としては、筋肉を落とさないこと。筋肉を落とさないための筋力トレーニングが必要と言えます。

 

「温泉施設で運動教室を開催するに至った経緯」

地域での運動サークルを立ち上げて約20年。

多くの方が運動教室に参加して下さるようになりました。運動教室に参加して下さる方は本当に自立されていて、ご自分の健康管理意識もとても高いです。

やはり元気なうちから体力・筋力を維持するための運動を習慣化すると効果がでるのも早いなぁ・・・と感じます。

その反面、20年経って感じることの1つとして、「運動教室」として開催していても、そこに集まってきてくださる方は、比較的健康意識の高いお元気な方たちのように思うのです。

元気な方たちが元気なうちから健康維持のための運動に取りかかるのはもちろんとても大切なこと。

しかし、このままだと介護が必要になる「フレイル」と言われる方たちを救いきれていないと思うのです。

行政主体の介護予防のための運動教室などを担当させていただいていても同じことを感じます。

行政でも「フレイル」と言われる方たちをうまく救いきれていないのではないかと思うのです。

「フレイル」とは・・・加齢に伴って心身の活力(筋力・認知機能・社会性など)が低下し、要介護状態へ移行しやすくなる「虚弱」の段階を指します。適切な介入によって改善できるのが特徴で、主な要因には、筋肉量・体力の低下(身体的フレイル)、認知機能や気力の低下(精神・認知的フレイル)、人との交流の減少(社会的フレイル)があります。予防には、「バランスのよい食事」「適度な運動」「社会参加」が重要とされています。

では、「どうすればその人たちが少しでも運動に目を向けて下さるのか?」と考えた時に、「普段の生活に近いところに運動できる仕組みが作れないか?」もしくは、「運動をする目的で来たのではないけれど、気がついたら運動していた」という仕組みづくりが必要ではないかと考えました。

「温泉に入りに来たんだけれど気がついたら運動していた」 ついでに「たまにはみんなとおしゃべりしながらご飯も食べて帰ろう」という風になれば社会交流も増えます。

高齢化率がますます高まる地域においては、独居高齢者も増える一方です。

冬場は室内とお風呂との寒暖差から血圧が大きく変動し、失神・不整脈・心筋梗塞・脳卒中などを引き起こす「ヒートショック」などの問題も心配ですが、暖かい温泉施設での入浴は安全性も高まります。

「運動って面倒だな」とか、「続ける自信がない」と思っている皆さん、まずは温泉に入るついでに、ほんのちょっとだけ身体を動かしてみませんか。

気持ちの良いものですよ。

<美榛苑での体操>2026年1月~3月の予定

★第1火曜日

★時間:14:00~15:00

★内容:椅子に座って行う腰痛・膝痛予防のための体操

★お問い合わせ:美榛苑 0745-82-1126

井 上    090-8378-8399

 

 

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