『椅子に座って体操!』~シニアのためのオンライン運動教室開催~
コロナ禍で普及したオンライン運動教室。
2023年5月から、月2回(第2,第4水曜日13:30~14:15)
シニア対象の運動教室を開催させていただいています。
内容は、椅子に座って行う関節疾患予防のための機能改善体操です。
そして、毎回5分程度は参加者どうしで交流を深めていただく「お話タイム」の時間を設けています。
毎回、皆さんとても楽しそうにおしゃべりされています。
健康づくりを提供する現場でも、3年前から急速に普及したオンラインレッスン。
オンラインでの運動教室を受講して下さっているのは60代~80代の皆さん。
なかには、引っ越しで宇陀市を離れられた方も、参加して下さっています。
離れた地からでも、またこのような形で一緒に運動できるのはとても嬉しいです。オンラインの良さを感じます。
シニアのための「オンライン運動教室」開催のきっかけ
コロナウイルスも一段落し、様々な制限が緩和された今、対面での運動教室もほぼ通常通り再開されているので、わざわざオンラインでの運動教室は必要ないのではないかと思われがちですが、私には「シニアの方にこそ、元気なうちからオンラインにチャレンジしてほしい」という思いがあります。
3年前、地域で展開している運動サークルもコロナウイルス感染拡大防止のため、一時的にすべての教室が休講になりました。
どのくらい休講が続くかも想像できなかった3年前、「シニアの方々が家から出なくなることの弊害、人と会わなくなることの弊害」を考えると、「何とかして今の体力、気力を維持する方法を考えたい」と思いました。
テレビを見ていると、働き方もずいぶん変化し、リモートで仕事の打ち合わせや会議をしている様子が毎日のようにテレビでも流れていて、その様子をシニアの方々もよく目にされているのは感じていました。
シニアになると、スマホやパソコン、wi-fi がないという家庭も多いのも予想できました。が、始めるとなると何から手をつけて良いのかわからず・・・。
しかし、何もしなければ始まらないので、とにかくみなさんの意見を聞いてみようと思い、とりあえずオンラインレッスンができる環境にある人、やってみたい人がどのくらいいるのか直接聞いてみることにしました。
コロナ禍、直接教室参加者の皆さんと会えない時の連絡手段は、まず電話連絡網。そして、メールやライン。
運動教室がすべて休講になった頃、「テレビでよく見かけるオンライン会議みたいなのを使って、運動教室をしてみませんか? やってみたいと思う方、私に直接連絡ください」と聴いてみた。
そうすると数名の方が「やってみたい」とすぐに返事を下さったのです。
これは「やるしかない!」と思い、そこからはお一人ずつ電話で操作手順を説明し、実際にスマホやパソコンを使って繋いでみるということを繰り返し行いました。
スムーズにつながる方もいれば、なかなかつながらない方もおられたり・・・時間はかかりましたが、つながった時の皆さんのとても嬉しそうな声を聞くと力が湧いてきました。
そしてそのうち「どこが難しく感じるのか」「どこでつまずきやすいのか」も分かるようになってきました。
「シニアのためのオンラインレッスン開催の大きな壁」
スムーズにつながる方も増えてきた半面、やりたい気持ちがあるのに、「お家にwi-fiがない」「スマホやパソコンがない」という問題!
・・・コロナ禍、学校も長期休講を余儀なくされました。そこで、市内の小中学校では、タブレットを全員に配布され、子どもたちは家にいながらにして、いつでもオンライン授業を受けられるという体制がすばやく整ったのです。
そのような状況を見ていると、運動指導者の私としては、何とか、75歳以上の独居の方だけでもwi-fiやタブレットの貸し出しが出来、人との関りが少なくなっていたコロナ期、オンライン運動教室ができないだろうか・・・と思ったものでした。
行政の方にそのような要望をしてみましたが、なかなかすぐには状況は変わらず・・・
まずは、私にできること・・・出来る環境にある人だけでもオンライン運動教室を勧め、伝えていこうと動いてみました。
「2年間で幕を閉じた行政主体シニアのためのオンライン運動教室!」
2020年、コロナウイルスの感染拡大が問題となり、多くの行事や運動教室が中止に。
日ごろから高齢者対象の運動指導をしている私は、「高齢者が外に出なくなると、一気に筋力、体力が衰えるのではないか・・・」と心配になり、出来ることをやってみようと思い、シニア対象のオンライン運動教室を始めました。
しかし、より多くのシニアに伝えていこうと思うと、個人で動くには限界を感じ、いつも地域の運動教室でお世話になっている保健センターの保健士さんに「市主催のオンライン運動教室を開催しませんか」と提案させていただきました。
市の発信力があれば、より多くの方にオンライン運動教室を知っていただけるのではないか。それと同時に、なかなか救い切れない介護一歩手前の方にもアプローチできるのではないかと思ったからです。
<オンライン運動教室提案の理由としては・・・>
・コロナ禍の生活の中、感染の心配なく、家にいながらにして運動教室に参加できる環境を整える。
・今後、車の免許を返納し、地域で開催している運動教室の場所まで出向くのが大変な高齢者が増えた時の対応として。
・近くの運動教室に歩いて通っていたが、歩いて教室の場所まで行くのが大変になってきた方に向けて。
・家族の介護が必要であり、運動教室に参加したくても家を留守にできず参加できない方に向けて。
・テレビを見ながらの運動では人と関わることが出来ないが、オンライン運動教室なら人と会話をすることが出来、人生の最後まで社会交流を持つことが出来る。
・大雨や雪が降って外出しづらい時にも、お天気に関係なく運動教室に参加できる。
このような提案が通り、2021年4月~2年間にわたり、「市主催のリモート運動教室」を開催。
しかし2023年3月、コロナウイルス感染も一段落と同時に「市主催のリモート運動教室」は終了となりました。
結果的には、現実はそう甘くはなく・・・2年間継続したオンライン運動教室の参加者は思うようには増えませんでした。
その原因としては・・・
①普及活動がスムーズに行われなかった。
②リアルでの運動教室が再開し、オンライン運動教室の必要性が優先されなくなった。
③wi-fiやタブレットのレンタルがなく、それらを所有していない高齢者は参加できない。
④オンライン運動教室のメリットが十分に伝わらなかった。
などの原因が考えられるのではないかと思います。
多くの運動指導者が、今後も『シニアのためのオンライン運動教室』は必要だと感じています。
2023年7月、運動指導者の皆さんに「シニアのためのオンライン運動教室」に対するアンケート調査にご協力をお願いしました。
アンケートに回答いただいたのは31名の方でしたが、「今後もシニアのためのオンライン運動教室は必要だと思いますか?」という質問には74.2%の方が「必要だと思う」と回答されています。
そして、対面指導が戻ってきている現在も61.3%の方が「シニア対象の運動教室」を継続されているということがわかりました。
その反面、安全にオンラインレッスンをすすめることに不安を感じたり、システムを伝えることに難しさを感じている運動指導者さんや、オンラインで高い効果を上げることは難しいのではないか・・・と言うご意見もありました。
オンラインが必須でなくても、1つの選択肢として気軽に行っていただけるように伝えていくには、まだまだ考えていくべきことがたくさんありそうです。
*今回ご協力いただきましたアンケート結果につきましては、別途詳細をご報告させていただきます。
・・・先日、何気なくインターネット検索をしていたら、ある大学生の取り組みとして「オンラインを活用した高齢者の居場所づくり」というものが目に留まりました。
そこで発信されていたのが、「たとえ介護が必要になって出歩けなくなったとしても、オンラインがあれば世界とつながることが出来る」というメッセージ。